第31回 正陽会

昨年12月より毎月1回勉強会を続けて参りました「正陽会」がいよいよ本番を迎えます。

今回は朝義が「朝長」を、雄三が「恋重荷」を、舞わせて頂きます。
今年は父・朝太郎(職分)の33回忌の年に当たりますので、追善の思いで勤めさせて頂きます。
また、過日「人間国宝」の認定を受けられました、野村四郎師、大槻文藏師にもレギュラー出 演をしていただいており、今回も仕舞を舞って頂きます。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
正陽会 上野朝義  
    上野雄三  

日時:2016年11月20日(日)13時開演/12時開場
会場:大槻能楽堂
大阪市中央区上町A-7
TEL.06-6761-8055
入場料:一般 (前売)5000円  (当日)6000円
    学生 (前売)2500円  (当日)3000円
★全席自由席
お問合せ:朝陽会館 06-6357-0844
     大槻能楽堂 06-6761-8055
     または各出演楽師

パンフレット

仕舞

  • 「松虫」前田飛南子
  • 「百万」小寺一郎
  • 「天鼓」赤井きよ子
  • 「鵜飼」久保田稔
  • 地謡:齊藤信隆,上野雄三,野村昌司,三浦信夫

能「朝長(ともなが)」

  • 青墓長者/朝長:上野朝義
  • 侍女:上野朝彦
  • 従者:上野雄介
  • 旅僧:福王茂十郎
  • 従僧:喜多雅人,廣谷和夫
  • 下人:善竹隆司
  • 笛 :野口亮
  • 小鼓:清水晧祐
  • 大鼓:山本哲也
  • 太鼓:三島元太郎
  • 後見:小寺一郎,赤松禎友
  • 地謡:野村四郎,藤井完治,梅若猶義,久保田稔,武富康之,長山耕三,三浦信夫,伊原昇

狂言「鎌腹(かまばら)」

  • 夫:善竹忠一郎
  • 妻:上西良介
  • 仲裁人:善竹隆司
  • 後見:上吉川徹

・・・・休憩 20分・・・・

仕舞

  • 「江口」野村四郎
  • 「融」大槻文藏
  • 地謡:上田貴弘,梅若猶義,長山耕三,井戸良祐

能「恋重荷(こいのおもに)」

  • 山科荘司/荘司亡霊:上野雄三
  • 女御:野村昌司
  • 臣下:福王知登
  • 下人:善竹隆平
  • 笛 :赤井啓三
  • 小鼓:久田舜一郎
  • 大鼓:上野義雄
  • 太鼓:上田悟
  • 後見:野村四郎,上田貴弘
  • 地謡:大槻文藏,齊藤信隆,赤松禎友,武富康之,長山耕三,井戸良祐,川中治作,伊原昇

追加

終了予定 17時過ぎ

あらすじと解説

朝長(ともなが)

朝長に縁の深い僧が、平治の乱で敗れて自害した朝長を弔うために美濃の国青墓の宿へとやって来る。朝長の墓前で弔っているところへ青墓の宿の長者が二人の供をつれて現れる。朝長との因縁を尋ね、女も朝長に一夜の御宿をした縁で、同様に弔いをする宿の長であると告げる。女は落ちのびて来たその夜の義朝親子の様子から、朝長の最後の有様などを詳しく物語っているうちに、いつか日も落ちて来たので我が家に僧を案内する。その夜僧が、朝長が好んだという観音懺法で供養をしていると、朝長の霊が現れて、弔いに感謝し、修羅道の苦しみ、墓での自害の様を語りながら、回向を頼んで消え失せる。

コメント

「朝長」は若くして自害した若武者・源朝長の身の上話を語る「語りの能」と言われています。
修羅能では、さまよう霊が、自分の霊を弔って貰いたいために、化身(前シテ)となって現れてくるのが一般的です。
しかし、朝長ではあえて全くの別人が前シテである点が特徴です。そして、前シテが彼を偲んで語ります。また狂言も語ります。
さらに、後場では後シテとなって本人が現れ、彼を通して人間模様を語ります。

「語り」とは、彼にゆかりの人々の「祈り」であり、それに対する朝長の「感謝」です。
観客も含めて、すべての人々が、悲運の死に散った若武者・朝長をそっと見守るように出来ている曲だと感じます。
上野朝義  

恋重荷(こいのおもに)

主人公は菊の下葉を取る山科の庄司(じょうじ)という身分の賤しい老人である。それがこともあろうに、美しい女御を一目みてから恋の苦しみに悩み出す。臣下に呼び出され「重荷を持って庭を百度千度廻るならば、女御は姿を見せる。」と伝える。庄司は喜び、重荷を上げようとするが動かない。恋の嘆き、苦しさなどを語りつつ、再び挑むが失敗に終わり、恨みを残して死する。女御が憐れみを感じていると、恐ろしい形相の老人の亡霊が現れ、怨みをのべる。しかし最後には老人は女御をゆるし、女御の守護神となることを誓い去っていく。